鍼灸最新情報!
★アメリカで人気の鍼灸治療
米国衛生研究所の専門委員会は5日、鍼治療が手術後の痛みや抗ガン剤投与にともなう吐き気などの治療に有効であり、医療保険でカバーすべきだとする報告書をまとめた。しかし、鍼の理論的根拠となる「気」の存在については「わからなかった」としている。
委員会が有効性を認知したのは、手術や歯科治療後の痛みの除去と、がんの化学療法や妊娠にともなう吐き気の治療。こうした対象に限定して、鍼治療の医療費を保険で支払うべきだと勧告した。また、麻薬中毒や頭痛、生理痛、筋肉痛、テニス肘、腰痛、喘息の治療やリハビリテーションなどに役立つとされた。鍼が何故効くのかについての報告書は、人体のツボに鍼を刺すことで、鎮痛作用をもつ生体内物質の放出が増えるためと推定した。
米国では1972年の訪中をきっかけに鍼治療が盛んになり、現在1000万人が米国内で治療を受けているとみられる。(1997年11月6日 毎日新聞)
★はり治療が歯痛、吐き気に効く
米国立衛生研究所(NIH)は、東洋医学のはりが歯の痛みやがんの化学療法後の吐き気などの治療に効果がある、と専門委員会が結論付けたと発表した。
西洋医学の側から見るはり治療の効果についてはこれまでも、日本でもがん患者の痛み緩和などに効果がある、とする報告が出ている。だが今回の発表は、世界的に権威ある医療機関が欧米で関心が高まっているはり治療に「お墨付き」を与えたもので、今後いっそうの利用が図られそうだ。
十二人の専門家で構成される委員会によると、はりによる直接の治療効果が明確に認められたのは、抗がん剤投与の副作用による苦しい吐き気やつわり、歯の治療による痛みの治療。
委員会はまた、西洋医学と組み合わせることにより、脳卒中のリハビリ治療や頭痛、生理痛、腰痛などのほか喘息など多くの症状にも効果を発揮する可能性があるとしたが、これらの調査は十分でなく今後の研究が必要だと指摘した。米食品医薬品局(FDA)によると、米国ではすでに九百万から千二百万人がはり治療を受けるなど人気が高まっている。
委員会のデービット・ラムゼー委員長は「これまでの西洋医学に東洋医学の手法を組み合わせてより良い治療法を生み出す第一歩になる」と強調。米厚生省も「いくつかの治療分野で効果をもたらす可能性がある」と、はり治療では初の声明を出した。
★医療費高騰に対し、政府も柔軟な発想を
厚生労働省が、医療関係の窓口で患者が支払う自己負担を来年度から現在の2割を3割に引き上げる方針を固めた。痛めつけられている家計に新たな負担が加わりそうだ。医療費高騰は誰もが認識し、何とかしなければと思っている。しかし患者の負担増で安易に解決を図ろうとするのは、国家百年の計をうち立てるべき政策立案者や官僚の怠慢と言えるのではないか。
一つ思い当たるのは、わが国の医療制度が明治期のスタート時点で選択を誤ったのではないかということだ。江戸時代まで日本の医療を長く担い、成果をあげてきた漢方、鍼灸を切り捨てて、西洋医学一辺倒に走ったことである。戦場で即座に役立つ軍事医学を求め、民衆のための医療プログラムを作り出す発想を欠いていた。
その後の世界の医療制度を見ると、この選択がわが国の医療に禍根をのこしたといえる。革命後の中国が選んだのは、伝統医療と西洋医学の両方をいかす道だった。韓国でも大学で伝統医療が伝授され好評を受けている。
欧米諸国が今、力を入れているのも、東洋的な医療や欧州に伝えられてきた伝統医療である。背後に医薬品産業を抱える西洋医学は、医療費高騰の要因を必然的に抱えている。それに比べ、簡単な器具や薬草を使う伝統医療ははるかに安価かである。硬直した制度の中で求められるのは、柔軟な発想なのかもしれない。(2001年9月9日山梨日日新聞)
★新しい統合医学の創造
人間の死は、遺伝子にあらかじめプログラムされていてその人が病気になるのは、宿命ともいえる。人はいずれは死を迎えるわけで、それまでの人生をよりよく生きていけるようにするのが医療の役割だろう。ところが、現代医学はガン細胞や細菌を絶滅させる方法や、臓器を部品のように扱う臓器移植や、人間の遺伝子にまで踏み込んだ遺伝子治療の研究に熱心である。ともすれば、病気を持っている人間そのものではなく、病気の治療だけに目を奪われがちだ、東洋医学では、病気と共存しながら、いかに生き、そして、いかによい死を迎えることができるのか、ということを考えながら、その患者のライフスタイルや人生観を踏まえたうえで、どんな治療をし、どんな生活をしたらよいのかをアドバイスしていく。インフォームドコンセントの必要性が叫ばれるようになって久しいが、日本の医療では、患者が治療法を選択できずに、医療者側の言いなりになっている場合が少なくない。
施術者は医学的な知識を患者より多く持っているので、その情報を患者に提供し、アドバイスしていくのが本来の役割だ。検査を含め、手術、服薬などの治療法を最終的に選択するのは患者自身なのだ。東洋医学で使われる漢方薬や鍼灸に、特別な価値観があるわけではない。病気を抱えた人間を丸ごと受け入れるという、東洋医学の思想や哲学に意味があり、この考え方を医療の現場に生かすことが必要なのではないだろうか。
現代の日本では西洋医学が高度に発達し、また、東洋医学も発展継承されている。これからの時代は、西洋医学と東洋医学の特徴を生かした医療が実現され、普遍的な医療として認知されていくことが理想である。そのためには、医療者の意識改革も大切だが、統合医学を求める患者の意見を世の中に広めていくことが必要だ。医療は患者のためにあるという原点に返って新しい統合医学の創造に期待したい。 ニッカンスポーツ新聞(医療ジャーナリスト笹倉尚子著、漢方薬入門より)
★自然治癒力生かし健康保持
手術や医薬品投与中心の西洋医学に漢方、鍼灸・マッサージ、健康食品などを組み合わせた「統合医療」への関心が、このところ高まっている。人間が本来持っている自然治癒力をフル活用することで病気を治したり、予防しようというもの。増える一方の国民医療費の抑制にも役立つと期待されている。
2004年1月末に米国、韓国、中国、インドなどから専門家30数人が参加し、東京で「第一回国際統合医療専門家会議」が開かれた。この中で米アリゾナ大学のアンドルー・ワイル博士は「西洋医学は高価なテクノロジーへの依存傾向を強めている。多くの場合、統合医療の方が格段に安いコストでより良い効果を生むことができる」と述べ、統合医療は経済性にも優れていると強調した。
日本で統合医療の普及に努める「日本代替・相補・伝統医療連合会」では「1980年代に米国で西洋医学に対する見直しが広まった始まり」と由来を説明。欧米を中心に西洋医学に替わる「代替医療」や西洋医学と補い合う「相補医療」、さらには漢方や鍼灸など「伝統医療」あるいは自立に向け筋力トレーニングへの関心が次第に高まったと解説する。今や環境によい住環境まで含め「健康」をキーワードにした幅広い理念になっている。
治療より予防に力を入れることで健康な人を増やし、医療費も抑制しようという考え方は、日本でも広がりつつある。(2004年3月8日 山梨日日新聞)